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【治す】自力改善

姿勢から改善する脊柱管狭窄症【根治】プログラム

著者:清水伸一

脊柱管狭窄症を引き起こし、悪化させる大きな原因が姿勢です。
腰だけでなく首や胸、足に起こる異変を矯正することで、脊柱管狭窄症の根治に向かうことができます。
いずれも身体に負担がかからず、簡単な方法で、暮らしの中に無理なく取り入れられます。

まっすぐ頸椎(ストレートネック)を改善する「水平あご引き」

腰部脊柱管狭窄症の悪化を引き起こしやすくなる「まっすぐ頸椎(ストレートネック)」に陥っているかどうかは、整形外科などでレントゲン検査を受ければ簡単にわかりますが、自分でもある程度ならチェックできます。

首や頭の後ろ側の5点を指で順番に押す

首や頭の後ろ側の5点を指で順番に押す自分が自然だと思う姿勢で直立して壁に背中(肩甲骨)をつけたとき、後頭部が壁にふれない人はまっすぐ頸椎に陥っている可能性があります。

ただ、まっすぐ頸椎に陥っていることがわかっても、整形外科では積極的な治療や、改善のための指導が行われていないのが実情です。というのも、現状では、まっすぐ頸椎はほとんどの整形外科で病気と見なされないからです。
しかし、まっすぐ頸椎を放置していると、脊柱管狭窄症の悪化を招くばかりか、首の脊柱管狭窄症(頸部脊柱管狭窄症)へ進行していく危険も大きくなります。
そのため、自分の力でまっすぐ頸椎を正してほしいものです。

その方法として私がすすめるのは、自力整体「水平あご引き」です。
水平あご引きは、ひと言でいえば、両手の指で頸椎や頭の後ろ側を前方向へ押しながら、あごを水平に後ろに引くだけという非常に簡単な体操です。くわしいやり方は次の図を参照してください。

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1〜5を全部行うのが難しいと感じる人は、5だけを行ってもいいでしょう。これだけでも頸椎を正しい状態に矯正する効果が得られると考えられます。

目線は水平。頭全体を水平に下げる

水平あご引きの最も重要なポイントは、あごを引くときに顔を下へ向けないことです。

あごを引くというと、自分のヘソを見るようにあごを首の前側にくっつけて下を向く人がいますが、これでは頸椎を矯正する効果は得られません。
あごを正しく引くには、目線を正面に向けて、頭全体を水平に後ろへスライドさせるようイメージするといいでしょう。あごを引くと同時に、おなかを軽く前に突き出すとうまくいきます。
指で首や頭の後ろ側を押すときは強い力で行わないでください。気持ちいいと感じられる力でゆっくりじんわり押します。

すぐに効果が現れるが、はじめは毎日続けることが肝心

驚くべきことに、水平あご引きを行うと、消えた頸椎の前弯がその場で戻ります。
ただ、そうして回復した頸椎の前弯はしばらくすると消えて、もとに戻ってしまいます。

そのため、水平あご引きはしばらくの間は毎日続けて行ってください。
そうすれば、早い人なら1ヵ月程度で頸椎の前弯が定着しはじめ、それに伴って脊柱管狭窄症による痛みやしびれも改善していくでしょう。

02_03_02.pngなお、水平あご引きは、腰の脊柱管狭窄症だけでなく首の脊柱管狭窄症の痛みやしびれを和らげるのにも有効です。首の狭窄症に悩んでいる人も、ぜひ水平あご引きを行ってください。
ただし、水平あご引きを行って、万が一、痛みやしびれが強まるなどの症状の悪化が見られるときは、すぐ中止してください。
また、首の脊柱管狭窄症については、狭窄症で首が痛い!? 若者にも多い「首の脊柱管狭窄症」とは?をご覧ください。

背骨のS字カーブを取り戻す「スーッと背伸び」

腰部脊柱管狭窄症の患者さんが取りがちな前かがみ姿勢によって、背骨本来のS字カーブ(ナチュラルライン)がくずれ、胸椎(背骨の胸の部分)の後弯が強まる「曲がり胸椎(ネコ背)」に陥ると、脊柱管狭窄症の悪化を招くばかりか、肺や胃、腸などの内臓にも悪影響が及びます。

息を吸い込むと自然に背筋が伸びる

そのため、曲がり胸椎は早急に解消する必要があります。

そこで私がおすすめするのが、誰でも簡単に行える「スーッと背伸び」という体操です。

スーッと背伸びは、イスにふだんどおりに腰かけることから始めます。
イスに腰かけたら、鼻から息を思い切り吸い込んでください。
すると、背すじが自然と伸びて、誰でも簡単に最良の背伸び姿勢が取れます。これは、肺に大量の空気を取り込むことで肺が大きく膨らんで、後弯が強まった胸椎を押し戻す力が働くためです。
このとき、無理に背すじを伸ばしたり腰を反らしたりするのは禁物です。痛みやしびれが出ないぎりぎりのところ(ニュートラルポジションという)で止めるのが大切です。また、あごを引いて、顔が上を向かないようにしてください。これは、曲がり胸椎の矯正とともに、先述のまっすぐ頸椎を矯正する効果も得るためです。

こうして背伸び姿勢が取れたら、今度は約8秒かけて口から息をゆっくりと吐き出していきます。
このとき、直角に近い角度に曲げた両ひじを少し持ち上げながら、両肩と両ひじを軽く広げて胸を張るようにすると、後弯した胸椎がさらに大きく伸びるので効果的です。

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スーッと背伸びは朝・昼・夜に

以上の動作を、3回くり返すのを1セットとして、まだ体が硬い朝は3セット、昼は5セット、夜は6セットを目安に行ってください。

体操は食後に行うと消化を促す効果も得られるので、それぞれ食後に行うのがいいでしょう。
また、パソコン仕事や家事などで前かがみ姿勢が長時間続いたときにも行ってみてください。

ちなみに、スーッと背伸びは寝た状態でも行うことができます。
あおむけに寝て両ひざを立てた状態で、鼻から息を大きく吸い込みます。その状態で、座って行うときと同様に両肩と両ひじを軽く広げて胸を張りながら、約8秒かけて口から息をゆっくりと吐き出してください。

スーッと背伸びを毎日行えば、前かがみ姿勢で丸くなった背中や腰が徐々に伸び、曲がり胸椎は解消されていきます。また、背骨周辺の筋肉や靭帯の硬直もゆるみ、背骨の可動域も広がります。
その結果、脊柱管狭窄症の痛みやしびれが改善に向かっていくでしょう。

さらに、曲がり胸椎による肺や胃、腸への圧迫も解消されるため、低下した呼吸機能や消化機能も回復します。そうすれば、脊柱管狭窄症の患部に送られる血液や酸素の量が増えて骨や神経の修復が促されるようになるはずです。
スーッと背伸びは一つ一つの動作をゆっくりと丁寧に行うことで大きな効果が得られます。ぜひお試しください。

腰椎の硬直を和らげるには仰向けで「片ひざ抱え」

腰部脊柱管狭窄症の人は、足腰の痛みやしびれが軽減するために、つい前かがみの姿勢を取ってしまいがちです。
ところが、ふだんから前かがみ姿勢を取りつづけていると、今度は脊柱管狭窄症による坐骨神経痛とは別の痛みが生じてくることもあります。

殿部や背面の痛みの原因は前かがみ姿勢

実際、私のクリニックでは脊柱管狭窄症の患者さんの多くが、殿部の痛みと張りを訴えてきます。

これは、前かがみの姿勢を取りつづけていたために、殿部や足の背面にある筋肉・靭帯(骨と骨をつなぐ丈夫な線維組織)が硬直し、そこから痛みが生じているのです。
前かがみの姿勢を取りつづけると、背骨の本来の形である自然なS字カーブがくずれて、骨盤も傾いてきます。

すると、通常は前方に軽くカーブを描き上半身の重みを分散させている腰椎(背骨の腰の部分)からも弯曲が失われ、その状態で周囲の筋肉や靱帯が硬直してきます。 こうして上半身の負担が足腰に直接のしかかってくると、殿部や足の背面の筋肉から痛みが生じるばかりでなく、腰椎の脊柱管も狭まり、中を通る神経が圧迫されて坐骨神経痛を悪化させるのです。

腰椎・筋肉・靱帯の硬直をほぐす「ひざ抱え」

こうした前かがみ姿勢が招く症状の対策として、私は「ひざ抱え」を患者さんたちにすすめています。

ひざ抱えは、両ひざを抱えながら胸に近づけて腰を丸める体操です。
この体操を行えば、脊柱管が広がって神経の圧迫もゆるむため、その場で痛みやしびれの緩和を実感する人も少なくありません。
また、ひざ抱えを続けていると、傾いていた骨盤が正常な位置に戻ることで背骨が本来のS字カーブを描き、腰椎も前方に軽く弯曲するようになります。こうして腰椎にかかる負担が減れば、脊柱管の中を通る神経の圧迫がゆるみ、坐骨神経痛も快方に向かうでしょう。
また、ひざ抱えによって足腰の筋肉や靭帯が柔軟になるので、殿部や足の背面の痛みも軽減しやすくなります。

最初はできる範囲で片足ずつ行えばよい

①脊柱管狭窄症の人でも痛みがなく、らくに行える。
②骨盤の傾きを正し、背骨本来のS字カーブを取り戻せる。
③硬直していた殿部の痛みや足の背面痛が和らぐ。

このように、一石三鳥の効果を期待できるひざ抱えですが、重度の患者さんや高齢者の場合は、体が硬くて両ひざを同時に抱えるのが難しいという相談をよく受けます。

その場合にすすめているのが「片ひざ抱え」です。

もともとひざ抱えの目的は、腰を丸めて脊柱管を広げることなので、必ずしも両足で行う必要はなく、片足ずつ、できる範囲で腰を丸めればいいのです。

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片ひざ抱えを行うときは、あおむけに寝て、両ひざを曲げます。そして、両手で片方のひざを抱えたら、ゆっくりと胸に引き寄せて腰を丸めましょう。
この姿勢を20秒間キープしてください(左右どちらの足から始めてもいい)。
次に、抱えた足をゆっくりと伸ばし、10秒間キープ。これを3回くり返したら、反対側の足でも同様に3回行います。

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以上の動作を1セットとして、朝晩に1セットずつ行うのが目安になり、夜は筋肉がほぐれてひざを曲げやすくなる入浴後が効果的です。

なお、最初から片ひざ抱えの姿勢を無理に20秒間保つ必要はなく、足をまっすぐに伸ばすと痛みが出る場合は、ひざが多少曲がっていてもかまいません。
片ひざ抱えを続けているうちに、筋肉や靭帯に柔軟性が戻ってきたら、両足を抱えるひざ抱えを行えばいいでしょう。

前傾姿勢が改善され長く歩ける「足裏三点立ち」

腰部脊柱管狭窄症では、背中を反ると痛みやしびれが強まるため、それを防ごうと前かがみ姿勢になりがちです。
前かがみ姿勢を頻繁に取っていると、本来、土ふまずのあたりにこなければならない重心が、もっと前方、具体的にいうと爪先側にずれてしまうのです。

足裏のアーチがくずれ症状がさらに悪化する

重心が前方にずれると、足裏のアーチ(弓のような曲線)構造がくずれてしまいます。
アーチには、足裏にかかる荷重を吸収・分散するためのクッションの役割と、スムーズに歩いたり走ったりするためのバネの役割があります。
そのため、アーチ構造がくずれると、土ふまずの痛み(足裏筋膜炎)や、扁平足・外反母趾といった足裏の変形が起こりやすくなるのです。

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なお、土ふまずの痛みなどがあると、無理が生じている部分の筋肉や靭帯(骨と骨をつなぐ線維組織)が硬直し、脊柱管狭窄症の症状が悪化します。

地面をわしづかみにするように立ち、歩こう

前にきた重心を後方に戻すには、「足裏三点立ち」を心がけてください。
足裏三点立ちとは、足の親指と小指、そしてかかとに重心をかけた立ち方です。
カメラの三脚をイメージすれば、おわかりになるでしょう。

足裏三点立ちのやり方は、非常に簡単です。
具体的にいうと、足の親指と小指、そしてかかとの三点に体重を意識してかけ、そのあと地面を足裏でわしづかみすればいいのです。
歩くときも、同様にします。 また、足裏三点立ちを行うとともに、立つ・歩くときは前かがみ姿勢にならないよう意識して顔を上げ、正面を見るようにしましょう。

これにより、重心が土ふまずあたりに移行しやすくなります。 ちなみに、足裏三点立ちの姿勢が不安定な人は、両足の爪先を左右に30度ずつ広げ、かかとを閉じる「逆ハの字」にして立つ・歩くと安定します。

もう一つ、入浴中に足裏をもんだり、足裏と足指でタオルをつかむ運動を習慣にしたりすると、重心を後方に移動させるのになお効果的です。 足裏三点立ちを心がけたら、間欠性跛行(こま切れにしか歩けなくなる症状)も改善し、休まず長く歩けるようになる患者さんがおおぜいいます。


狭窄症Part01_cover.png出典:わかさ夢ムック1 腰と首の脊柱管狭窄症に絶対勝つ!あっと驚く自力克服道場
http://wks.jp/mook001/
著者:清水伸一

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