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[トリガーポイント注射]なら自分でほぐせないこりがほぐせて、難治の痛みやしびれも軽快する

著者:加茂整形外科医院院長 加茂淳

長引く痛みやしびれ、さらには手術しても一向に改善しない症状で悩んでいる方の本当の原因は骨格の異常では無いかもしれません。
そこでこの記事では、そんな症状の真の原因ともなる筋肉のこり「トリガーポイント注射(正式にはトリガーポイントブロック」という)について、加茂整形外科医院院長の加茂淳先生に解説していただきます。
加茂先生が行っている治療のひとつ「トリガーポイント注射」を受けて、腰痛や脊柱管狭窄症、坐骨神経痛の改善などが改善した人が続出し、長年に渡って痛みやしびれに悩まされてきた患者さんたちのかけ込み寺となるほど、評判を呼んでいます。

トリガーポイントについては、以下の記事もご覧ください。
【トリガーポイント療法】脊柱管狭窄症の痛み・しびれは首・肩・腰の筋肉をゆるめれば改善!?
【トリガーポイント療法】首の脊柱管狭窄症にも効果大! 首・肩の筋肉のこりを解消する「三角もみ」
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症状の原因は骨格の異常が原因ではない

整形外科では一般に、腰痛や坐骨神経痛は、脊椎(背骨)など骨格が変形して神経根を圧迫することで起こると考えています。このように「痛みやしびれの原因が骨格の異常にある」という考え方を、専門的には「損傷モデル」といいます。
しかし私は、損傷モデルの考え方は間違いがあると考えています。そもそも痛みは、知覚神経の最先端にある痛みセンサーが、血液中の発痛物質を感知することで起こります。
そのため骨が変形して神経を圧迫しても、痛みが起こるとは考えにくいのです。
実際、腰椎すべり症や腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症の手術を行って骨格の異常を除いても、症状の改善しない患者さんはたくさんいます。

腰痛・坐骨神経痛の原因になるトリガーポイント

私は腰痛や坐骨神経痛の原因の多くは、筋肉に生じた硬いしこり「トリガーポイント」だと考えています。トリガーポイントとは、放置すれば痛みやしびれを悪化・拡大させていく痛みの震源地です。
トリガーポイントは、日常生活で悪い姿勢を続けたり疲労が蓄積したりして、筋肉に過度な負担がかかると生じやすくなります。また、冷えや心身のストレスによる筋肉の硬直も、トリガーポイントの悪化を助長します。
この、トリガーポイントは、初期のうちなら自分で押す・もむなどして刺激すれば除くことが可能です。ところが、放置していると、痛みによるストレスのために周囲の筋肉にもどんどん新しいトリガーポイントが生じ、痛みが重症化していく悪循環に陥ってしまいます。そうなると、自力でトリガーポイントを除くのが難しくなってしまうのです。

トリガーポイント注射は痛みが少なく、麻酔薬の安全性も高い

そこで、重い腰痛や坐骨神経痛を改善する治療法として私が行っているのが、トリガーポイント注射(正式名は「トリガーポイントブロック」という)です。これは、トリガーポイントに、直接、局所麻酔注射をして痛みを取り除く治療法です。
トリガーポイント注射には、主に次の4つの効果があります。
①筋肉の硬直をゆるめる
②発生した発痛物質を洗い流す
③交感神経(※)の働きを抑え、血流を促す
④知覚神経から脳に伝わる痛みの電気信号を遮断する
※交感神経は、自律神経の一種で、心身を緊張させる神経のこと

このようにトリガーポイント注射は、痛みの悪循環を断ち切り、自然治癒力を発揮させ、痛みを根治に導くきっかけをつくる治療法です。
トリガーポイント注射に用いる注射針は約0.3mmと極めて細く、針を刺す痛みはあまり強くありません。用いる麻酔薬も安全性が高く、一つのトリガーポイントに打つ量は、1〜5mlと少量です。そのため、妊婦や高齢者でも安心して使え、くり返し投与しても問題ありません。

トリガーポイント注射は保険も適用される

トリガーポイント注射の手順は、手でトリガーポイントを探し、局所麻酔を打っていくだけです。これは、ちょうど鍼灸で針を打つようなイメージです。
効果がすぐあらわれるので、患者さんの反応をその場で確認しながら治療を行うことができるのも利点の一つです。
注射をする場所は患者さんによって違いますが、通常は数ヵ所から10数ヵ所に及びます。また、トリガーポイント注射は速効性が高く、1回の治療だけで痛みが和らぐ人もおおぜいいます。
ほかの病医院で、脊柱管狭窄症や腰椎すべり症、椎間板ヘルニア、坐骨神経痛と診断されて、慢性の痛みを抱えている患者さんでも、週1〜2回のトリガーポイント注射を続けたら、痛みが解消される人もたくさんいるのです。
なお、トリガーポイント注射は、健康保険が適用されるので、、治療費の負担も少なくてすみます。
ちなみに、私の医院では、トリガーポイント注射のほかに、低出力レーザーや電気治療、マッサージなど、筋肉をほぐす治療も併せて行っています。

痛みへの不安や恐怖を除く心理療法も有効

ところで、慢性的な腰痛や坐骨神経痛を訴える患者さんの中には、改善に時間のかかる人もいます。そうした患者さんは、痛みに対する恐怖や不安を抱えている人が少なくありません。実は、こうした「痛みへの過度な恐れや不安」「心身のストレス」が、難治の腰痛に深く関わっていることが世界的な研究で明らかになってきています。
そこで、私の医院では、このような患者さんに対しては、治療の一環として、抗ウツ薬や抗不安薬などの薬を処方したり、認知行動療法(心理療法の一つ)を行ったりすることもあります。
さて、現在、私のように「痛みの原因は筋肉にできたトリガーポイントにある」という考え方のもとに治療を行っている病医院はまだ多くありません。そこで「MPS(筋筋膜性疼痛症候群)研究会」を立ち上げ、トリガーポイント療法の研究や普及に努めてきました。
「MPS研究会」では、筋膜性疼痛症候群の診断、治療等ができるMPS研究会員の医療機関·施術所・健康増進施設等の情報を公開していますので、参考にしてください。

●筋膜性疼痛症候群(MPS) 研究会|医療機関·施術所情報
http://www.jmps.jp/hospital
※クリックすると該当ページにジャンプします。

・記事の内容は安全性に配慮して紹介していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して専門医にご相談ください。
・医療機関にて適切な診断・治療を受けたうえで、セルフケアの一助となる参考情報として、ご自身の体調に応じてお役立てください。
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●脊柱管狭窄症をいちから知りたい方は、ぜひ下の記事をご覧ください。

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