【病医院リストつき】今話題の[AKA-博田法]って何だ?医師が行う先端手技治療で脊柱管狭窄症の痛みが改善!|カラダネ

【受ける】治療・手術

【病医院リストつき】今話題の[AKA-博田法]って何だ?医師が行う先端手技治療で脊柱管狭窄症の痛みが改善!

著者:望クリニック 院長 住田憲是

「AKA-博田法(エーケーエー/はかたほう)」という言葉、脊柱管狭窄症で悩んでいる人は耳にしたこともあるかもしれません。しかし、実際にはどのような治療を行うのか?どこで行っているのか?など多くの疑問を持たれている人もいるでしょう。そこで、この記事では、日本AKA医学会理事であり、望クリニック院長・住田憲是先生にAKA-博田法について解説して頂きました。

画像上の異常が痛みの原因とは限らない

大学病院をはじめとする一般的な整形外科では現在、腰椎(背骨の腰の部分)のレントゲンやMRI(磁気共鳴断層撮影)の検査結果をもとに、腰部脊柱管狭窄症か否かを診断する場合がほとんどです。診断後は、鎮痛薬や湿布、コルセットの着用、さらには神経ブロック(患部に麻酔薬を注射する療法)などの治療が行われます。
しかし、これらは一時的に痛みやしびれを和らげる対症療法にすぎず、完治が難しく慢性化してしまうケースが見受けられます。
どうしても症状が治まらない場合は、最終手段として手術が行われますが、手術で異常のある部分を治しても、症状が改善しない人、術後しばらくすると痛みがぶり返す人が少なくありません。
なぜなら、レントゲンやMRIで異常の見つかった部位が、必ずしも痛みやしびれを引き起こしている根本原因ではないからです。
実際、画像検査で異常が認められても痛みやしびれを全く感じない人もいれば、異常がないにもかかわらず痛みやしびれを訴える人もいます。
この2枚のMRI画像を見てください。これは、腰椎の変性すべり症で脊柱管狭窄症と診断された当時75歳の女性のもので、左は他院で治療前に撮影されたもの、右は1年後に当院で治療後に撮影されました。
比較すると画像では大きな違いはなく、どちらも腰椎で神経が圧迫されているように見えます。ところが、本人の痛みの感じ方は全く異なります。左の画像の時点では痛みがありましたが、右の画像の時点では痛みが消えていたのです。

腰椎ではなく仙腸関節に原因があった

なぜこのようなことが起こるのでしょうか。
結論を先に述べると、この患者さんの場合、痛みやしびれの根本的な原因は腰椎ではなく、骨盤の中央にある仙腸関節(仙骨と腸骨を結ぶ関節)の状態にあったからです。
左の画像の時点では、仙腸関節に機能障害がありましたが、右の画像ではそれが解消されています。当院で行っているAKA‐博田法(以下、AKA)という手技療法(素手で行う治療)によって、仙腸関節の機能障害を正す処置を施したことで痛みが消失したのです。

002.png腰椎を支える骨盤の中央部にあるのが仙腸関節で、ふだんから重い体重を支えています。仙腸関節には2~3mmの遊びがありますが、中腰で重い物を持ったりすると機能障害を起こします。AKAを仙腸関節に行うと、動きを正常に回復させ、痛みを消すことができます。

仙腸関節の動きの悪さが根本原因

AKAとは、今から35年ほど前に、元国立大阪南病院理学診療科医長の博田節夫先生が、硬くなった関節を治すリハビリ(機能回復訓練)の一環として開発したもので、あんまや整体とは異なり、医師が行う西洋医学の最先端の治療法です。
私は、これまでの約30年間、AKAによる治療を4万例以上行ってきました。その経験から、腰痛をはじめ、股関節やひざ、首、肩の痛みやしびれといった整形外科が対応する症状のある人の約85%に、仙腸関節の機能障害が認められることがわかりました。中でも腰痛に関しては、そのほとんどに仙腸関節の機能障害がかかわっているといっても過言ではありません。
私たちの体には、多くの関節があります。各関節には、それぞれ自動車のハンドルの動きの遊びに似た、関節の動きの遊びがあります。この遊びがあることで、関節は正常に動くのです。
しかし、なんらかの原因で関節のねじれや炎症が起こると、遊びの範囲が減少して関節の動きが悪くなることがあります。この状態を関節の機能障害といいます。
仙腸関節も、骨と骨の結合部分に2~3mmほどの遊びがあり、関節包(骨と骨の結合部を覆う膜)内でほんのわずかに動きます。
しかし、仙腸関節は重い上半身を支えるとともに、2本の足から伝わる衝撃も受け止めなければならず、常に酷使されています。そのため、些細なことでも関節がねじれたり、引っかかったりした状態で固まって、その動きが妨げられてしまうのです。
すると、周辺の筋肉に筋スパズム(異常な収縮)が起こり、同時に痛みやしびれ、突っぱり感などの症状が現れます。しかも、その影響は全身へと拡散し、一見、仙腸関節とは無縁と思われるような場所にまで飛び火することがあります。これを関連痛といいます。
実は、腰痛だけでなく、首や肩のこり、腕のしびれ、股関節痛、ひざ痛などは、仙腸関節の機能障害が引き起こす関連痛である可能性を疑うべきなのです。

AKAの改善効果は8割以上

AKAによって仙腸関節の動きがよくなると、脊柱管狭窄症と診断されている患者さんでも、足腰の痛みやしびれが驚くほど改善します。
開発者である博田節夫先生の治療実績を見てみましょう。ある一定期間に来院した、発症後3ヵ月以上の慢性腰痛の患者さん190名の統計データによると、痛みの原因はすべて仙腸関節にあることがわかりました。
そのうち、77名(41%)は仙腸関節の機能異常によるもの、52名(27%)は仙腸関節の機能異常に一時的な炎症を併発している「単純性仙腸関節炎」によるもので、AKAで約3ヵ月以内に完治。残り61名(32%)は、仙腸関節の機能異常に慢性的な炎症を併発している「仙腸関節炎特殊型」でした。残念ながら、再発をくり返し完治には至りませんでしたが、症状は大幅に軽減しています。

005.png私自身も、AKAの治療効果を示す臨床試験を行っています。それは、発症後1ヵ月以内の急性腰痛の患者さん118名を牽引(背骨を引っぱる治療法)・投薬・コルセットなどの従来の治療を受けるグループと、AKAを受けるグループとに分けて、痛みの改善効果を比較するというものでした。
その結果、1週間以内に痛みが消失した人の割合は、従来の治療を受けたグループではわずか17%だったのに対して、AKAを受けたグループでは38%にも達しました。
反対に、1ヵ月以上治療を続けても痛みが消失しなかった人の割合は、従来の治療法で60%にも上ったのに対して、AKAでは19%にとどまったのです。
これらの結果からわかるように、通常、AKAで腰痛を治療すると、原因が仙腸関節の機能障害のみならば、1~2回の治療により3週間程度で完治します。
ただし、単純性仙腸関節炎になっていると、治療はもう少し長くかかり、月に1~2回のAKAを3ヵ月程度続ければ治ります。
一方、再発をくり返す仙腸関節炎特殊型では、完治を望むのは難しいのですが、定期的に治療を受けることで、痛みやしびれを軽度にコントロールすることが可能です。

AKAは手技によって関節の動きを改善する

AKAでは、腰の部分を薄手の着衣の上から軽く手で押さえ、仙腸関節の動きを手で慎重に確認しながら、手技によって関節の動きを改善させます。くわしい手順は上の図のとおりで、治療は15分程度で終わります。
AKAは荒々しく力を加えることはせず、軽く触れる程度の力で行うので痛みはほとんど感じません。重大な副作用もなく、子供から高齢者まで安心して治療を受けることができます。

006.png仙腸関節のAKA治療の流れは以下の通りです。まず、①で患者さんに立ってもらい体を前後左右に曲げます。②で患者さんの足がどのくらい上がるかを見ます。③で患者さんの股関節の動きを見ます。④で仙腸関節にAKAを行います。⑤でほかの関節にAKAを行い、②~⑤の手順を何回かくり返し最後に①を行います。

実際にAKAを体験した人の多くは、治療直後になんらかの改善を実感しています。AKAを3ヵ月以上続けても症状に変化がない場合、原因は仙腸関節の機能障害以外にあると考えられます。
もし、脊柱管の狭窄によって本当に神経が障害されているならば、手術を受けることで改善する可能性があります。また、腫瘍や感染症、内臓の病気、骨折などの外傷、全く別の原因が考えられる場合は、それぞれに応じた治療を受けなければなりません。
このように、AKAは治療だけでなく、本当の原因を見極める手段としても有効です。もし、整形外科で手術をすすめられても、まずはAKAに反応するか否かを試してから、その後の方針を検討してもいいのではないでしょうか。

AKA認定医の治療を受けよう

AKAは、博田節夫先生をはじめとして日本AKA医学会で認定医と認められた医師が中心となって取り組んでいる手技療法です。
簡単に見えますが、仙腸関節の関節包内のわずかな遊びを手で感じ取ることは非常に難しく、治療には高度な集中力と技量が要求されます。当然、熟練度によりその効果には大きな差があります。
現在、日本AKA医学会では、500人以上の医師がAKAの技術を学んでいます。認定医として認められるには、難しい筆記試験や技術試験にパスしなくてはなりません。しかも、その認定期間は5年と定められているので、定期的に研修を受けて資格を更新する必要があります。
現時点で、その厳しい基準をクリアし、AKA認定医として承認された医師は約50人です。足腰の痛みやしびれで悩んでいる人、手術をすすめられて迷っている人は、一度相談してみてください。
なお、AKAの治療を受ける場合は、必ずAKA医学会の認定医を受診しましょう。AKAは正しい診断と正確な技術に基づく治療が行われないと、効果が得られないのはもちろん、逆に症状を悪化させてしまうことがあります。
AKAが受けられる主な病医院は、上のリストを見てください。そのほかの病医院については、AKA医学会のホームページ(AKA医学会で検索)に掲載されています。
費用や予約制の有無、待ち時間などは病医院ごとに異なるので、あらかじめ問い合わせてみてください。
参考までに、私のクリニックでは、初診料が8100円、AKAの治療費が1回(15分)1万2960円かかります。そして、2回め以降の受診ではAKAの治療費のみです。

AKA-博田法で症状が改善した患者さん

以下に、AKA-博田法で改善した患者さんの例を紹介します。

患者さんファイル① ●要手術の狭窄症の腰痛が消失

埼玉県の緒方康弘さん(70歳・仮名)は、2年間、狭窄症による左の腰からふくらはぎにかけての鋭い痛みに悩まされていました。神経ブロック注射も2~3日しか効かず、手術をすすめられました。しかし、AKAを受けたところ、1回めで腰痛が半減し、2ヵ月後に痛みが消失。現在は畑仕事ができます。

患者さんファイル② ●すべり症も併発のしびれが改善

神奈川県の坂下としえさん(65歳・仮名)は、10年前から腰痛と足の痛み、しびれで歩くのもままならなくなってしまいました。検査の結果、腰椎すべり症と狭窄症を併発しているとわかり、手術をさけるためAKAを受診。3ヵ月で痛みとしびれが軽くなり1年後にほぼ消失、元気に歩けるようになりました。

・記事の内容は安全性に配慮して紹介していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して専門医にご相談ください。
・医療機関にて適切な診断・治療を受けたうえで、セルフケアの一助となる参考情報として、ご自身の体調に応じてお役立てください。
・本サイトの記事は、医師や専門家の意見や見解であり、効果効能を保証するものでも、特定の治療法・ケア法だけを推奨するものでもありません。

出典

koshiraku_002thumbnail.jpgわかさ増刊号 脊柱管狭窄症克服マガジン「腰らく塾」 vol.2 2017年春号
http://wks.jp/koshiraku002/
著者:住田 憲是

●脊柱管狭窄症をいちから知りたい方は、ぜひ下の記事をご覧ください。


【受ける】治療・手術の記事一覧

この記事が気に入ったらいいね!しよう