自己診断チェック付! 脊柱管狭窄症の診断・検査方法とは|カラダネ

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自己診断チェック付! 脊柱管狭窄症の診断・検査方法とは

著者:清水整形外科クリニック院長 清水伸一

腰部脊柱管狭窄症には、「神経根型」「馬尾型」「混合型」の3タイプ(病型)があります(詳しくは、脊柱管狭窄症の3タイプ分類で未来の症状と治し方が見えるへ。脊柱管狭窄症と診断された人なら、自分がどのタイプに該当するのか、ぜひ知りたいところでしょう。

脊柱管狭窄症のタイプ自己診断チェック表

私たち医師は、問診や視診、触診、運動機能検査、画像検査などの結果をもとにタイプを判定していますが、実は、患者さん自身でも日々の症状から自分はどのタイプかをある程度推測できるのです。

それが、「狭窄症のタイプ自己チェック表」です。
自己チェックのやり方は簡単です。まず、症状チェックの①〜の質問に〇か×で答えていきます。
次に、それぞれの採点方法に従ってA〜Cに点数を加算します。
すべての質問の集計が終わったら、あとはA〜Cでどの点数が高かったかを調べればいいのです。

その結果、Aの点数が最も高かった人は神経根型、Bの点数が最も高かった人は馬尾型、AとBの点数がともに高かった人は混合型の疑いが濃厚と判定されます。
ちなみに、Cの点数が最も高かった人は、脊柱管狭窄症ではなく、腰椎椎間板ヘルニアなどほかの病気の可能性が高いと考えるべきでしょう。

自己チェック表をPDFファイルで開く

医師の脊柱管狭窄症診断・検査方法

自己診断チェック表はあくまで目安です。
確定診断は、医師の診察を受けてください。脊柱管狭窄症の診断は、次のような問診、触診、視診によって行われます。

脊柱管狭窄症の問診

腰部脊柱管狭窄症の診察のときに、医師からは主に次のような質問をされます。

①痛みやしびれが体のどの範囲に現れるか。
②痛みやしびれが起こったのはいつからか。
③痛みやしびれの経過はどうか。悪化しているか、強くなっているか。
④一日のうち、症状の出る時間帯(朝に痛む、夜に痛むなど)。
⑤痛みやしびれのほかに症状(頻尿や便秘、ウツなど)はのような体勢でどのような痛みが出るのか、患者さんのようすを主に以下の検査でくわしく観察します。
⑥前かがみ姿勢で症状が軽減し、腰を後ろに反らすと強まるか。
⑦間欠性跛行の状態(休むとらくになるか、前かがみ姿勢でらくになるか、足がしびれるか、一度にどのくらい歩けるかなど)。
⑧どのような仕事をしているか。
⑨過去、現在に運動をしているか。
⑩事故やケガ歴(交通事故や転倒事故、スポーツでの故障など)。
⑪現在、ほかの病医院で治療を受けているか。どんな治療を受けているか。
⑫自分でなんらかの対処をしているか。

医師は、患者さんの回答から、痛みやしびれの原因が脊柱管狭窄症によるものかどうか、重症度はどの程度なのかを判断します。

脊柱管狭窄症の視診、触診

問診と並んで大切なのが、視診、触診です。どのような体制でどのような痛みが出るのか、患者さんのようすを主に以下の検査でくわしく観察します。

●立位負荷試験・歩行負荷試験(最初に行われる)
立ちつづけたり、歩きつづけたりすることで症状が現れるかどうかを調べる検査。足腰の痛みやしびれ、間欠性跛行が脊柱管狭窄症によるものか、足の血流低下(閉塞性動脈硬化症)によるものかを判断したり、筋力の状態を見たりするのに役立つ。

●ケンプテスト
立った状態で腰をやや後ろに反らし、足腰に痛みが広がるかどうかを調べる検査。痛みが広がるようなら、脊柱管狭窄による神経根の圧迫が疑われる。

●ラセーグテスト
01_07_02_要カラー化.jpgあおむけに寝て足を伸ばした状態で片足を上げ、症状が強まるかを調べる検査。症状が強まる場合、椎間板ヘルニア(ヘルニアとは椎間板内の髄核という組織が飛び出た状態)の可能性が強まる。



●挙上テスト
下半身の血流の状態を調べる検査。あおむけに寝て足を上げつづけ、股関節やひざを屈伸するように曲げ伸ばしして、足が青白くなるかを観察する。これにより、閉塞性動脈硬化症やバージャー病といった足の血流障害の有無がわかるので、間欠性跛行の原因の特定に用いられる。

●画像検査 レントゲンやMRI(磁気鳴断層撮影)による画像検査。腰椎の変形、脊柱管の狭窄の有無、神経の圧迫の状態などを確認する。

●脊柱管狭窄症の各タイプの症状を詳しく知るには・・・・・・
「神経根型」脊柱管狭窄症の症状~左右片側に痛みやしびれ、歩行障害も~
「馬尾型」脊柱管狭窄症の症状~両足にしびれ、痛み、尿もれや便秘も~
「混合型」脊柱管狭窄症の症状~お尻から足裏に痛みや違和感、排尿・排便障害も

・記事の内容は安全性に配慮して紹介していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して専門医にご相談ください。
・医療機関にて適切な診断・治療を受けたうえで、セルフケアの一助となる参考情報として、ご自身の体調に応じてお役立てください。
・本サイトの記事は、医師や専門家の意見や見解であり、効果効能を保証するものでも、特定の治療法・ケア法だけを推奨するものでもありません。

狭窄症Part01_cover.png出典: わかさ夢ムック1 腰と首の脊柱管狭窄症に絶対勝つ!あっと驚く自力克服道場
http://wks.jp/mook001/
16年8月号.pngわかさ8月号 脊柱管狭窄症克服の極意 名医10人の111問111答
http://wks.jp/wakasa1608/
著者:清水伸一


●脊柱管狭窄症をいちから知りたい方は、ぜひ下の記事をご覧ください。


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